ラジオCM「ソニーカセットテープ/色と音」
(1984年 出演:寺山修司)
-------------(以下、CMの内容)--------------
みなさんこんばんわ、寺山修司です。
ぼくたちはいろんな色を見ることができるわけですが、
目の見えない子供たちは色をどんなふうに感じてるのか。
きのう文京盲学校の生徒さんたちと会って話したわけです。
すると目の見えない子供たちは、
色を音であらわすんだと答えてくれました。
それで白ってどんな音かって聞くと、
こんな音だって答えてくれました。
「ボーッボーッ」 (汽笛)
金色はって聞くと、金色はこんな音でした。
「カンカンカン」 (鍋)
鍋をたたく音なんだそうですね。
それで非常に金色に似た色ですけど、
お月さんはどんな音してるって聞くと
ドロドロの油の中に石を投げこむ音だって答えてくれました。
で、ぼくはますます興味をもって、
鏡はどんな色をしているのかなって聞いてみました。
すると目の見えない子供たちは、
絹糸の切れる音だって答えてくれました。
「プツン」 (絹糸)
もし人生がバラ色だとしたら、
それは目の見えない子供たちにとって
どんな音であらわすのか。
ぼくはまぁ、考えこんでしまったわけです。
ぼくたちは、いい音が大好きです。
--------------(CMここまで)---------------
音楽を聴いて情景を思い浮かべるということはあっても
色と音を結びつけるという発想は、自分にはほとんどなかった。
目が見えなくても色を感じ取ることはできるんだ。
視覚器と聴覚器が支配しているだけではないのだな
そう気付くきっかけとなったCMだった。
(サウンド・カラー共感覚の保有者の場合、音に色が付いて聴こえるようで。
無意識に発生する事象なので、目の見えない人とは違う色と音の結び付け方を行っているだろう。)