医学と芸術展(森美術館)で印象的な作品に出会った。
Walter Schelsの「Life Before Death」
左に生前の写真(この時、被写体の人物は余命わずかであることを知っている)
右に死の直後の写真が並べられている作品である。
ある人物は、広告会社で働いていた。
病気で余命わずかであることを知り、ホスピスに入る。
同僚が「また良くなったら会おう」と精一杯の笑顔で見舞ってくれる。
でも誰も、自分が死を前にしてどんな思いでいるのかを訊いてくれない。
そういう思いを心に抱えながら、
彼は逝った。
死後の彼の顔は
まるで眠っているかのように穏やかにも見えるし、
心から自分の思いを周りの人物に伝えることのできなかった悔しさが
にじみ出ているようにもとれる。
この作品は、タブー視されている「生と死」にダイレクトに切り込んでいる。
できれば直視したくないが、誰しもがいつか直面するテーマ。
だから心に刺さる。
生きている私達は死を迎えるにあたり、どうすればいいのか。
「今を生きる。」
「残された人が笑顔で暮らせるよう生きる。」
「・・・・・無理。考えたくない。」
「死んじゃったら別に関係ないし。」
そこに完璧な正解なんてないと思う。
ただ、
私は、
死の直前まで、
生きているということを実感していたい。