2008年に観た映画の中で、最も衝撃を受けた映画「Into the Wild」
これは、主人公アレクサンダー・スーパートランプ(クリストファー・マッカンドレス)が
過去の自身の生い立ちや両親への憎しみ、物欲にまみれた社会と決別し、
新しい自分に生まれ変わり、
本当の幸せ、生きている意味とは何かを探す旅を描いた映画である。
(実話をベースに作られている。)
ストーリーにぐんぐん惹きこまれ、観た後は打ちのめされた感覚を覚えた。
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若いエネルギーに満ち溢れた主人公は、抜群の行動力と知性で道を切り拓いていこうとする。
そして、過去の知識人の言葉を引用し、周りの人にこう言う。
「こんな偽りの愛情と物欲に満ちた社会はだめだ。
自然を愛する、人間本来の生活に戻るべきだ。」
「愛よりも金銭よりも信心よりも 名声よりも公平さよりも 真理を与えてくれ。」
対して、自分たちの経験に基づいてつたない言葉ながらも
スーパートランプにアドバイスをしようとする周りの温かい人々。
「君はまだ幼い。周りが見えていないんだ。頭が堅すぎる。」
「いつか家族を許せたときに、本当に見えてくるものがある。」
しかし、主人公は彼らが自分に向けている愛情を受け止めようととしない。
過去の生い立ちから人の愛情に対して疑問を抱くようになった主人公の情熱は、
いつしか雄大なアラスカの大地に向けらるようになった。
そしてアラスカでのたった一人だけの自給自足の生活が始まる。
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そこから先はネタバレになるので、ここには書きませんが
主人公と自分に重なる点があると思った方は是非、この映画を観ることをオススメします。
心に刺さったのは、映画の内容だけではない。
一人の無名の青年の人生を全米に知らしめた「荒野へ」の作者ジョン・クラカワー。
「荒野へ」に触発され、10年かけて映画化権を獲得し「Into the Wild」を実現した
監督のショーン・ペン。
彼らの活動があったからこそ、
こうしてクリストファー・マッカンドレスの存在を知ることができた。
表現者としての彼らの実行力、執念に感服する。